☆★☆★ほおっておくと本当に危ない!糖尿病と目の関係☆★☆★
左目の視力低下と飛蚊症*注1)の症状があるということで、50代後半の女性の患者さんが糟屋郡志免町より須恵中央眼科を受診されました。
*注1)目の前を黒い虫のようなものが飛ぶように見える症状
視力検査では矯正視力でも左目は0.15しかありませんでした。
眼底検査をすると、とても厳しい眼底出血が両方の目に起きていることが分かりました。
すぐに糖尿病による眼底出血だと考え、患者さんにいくつか質問をしました。
・のどの渇きやおしっこが近くないですか
・急に体重が減っていませんか
糖尿病でよくある症状がなかったかお聞きしましたが、そのような自覚症状はないようでした。
残念ながらその後に行った血液検査の結果により、糖尿病であることがほぼ決定的になりました。
2日後に造影検査を行い、糖尿病網膜症の確定診断をして、早速レーザー治療を行いました。
*左側が健康な状態の眼底画像。
*右側は進行してしまった糖尿病性網膜症の眼底、赤い斑点は出血です。また毛細血管が詰まり、周囲の組織が酸素不足となり網膜に浮腫(水ぶくれ)が起こり、綿花のような白斑も現れます。
この患者様には、すぐに内科にかかるようにお話しして糖尿病専門の内科の先生をご紹介しました。
恐ろしいことに糖尿病が原因で失明する人は、医療が発達した現代でもたくさんいらっしゃるのです。
●糖尿病患者の人口や予備軍の推移について●
全国の統計によると糖尿病の総患者数は約237万人もいらっしゃいます。
また糖尿病が強く疑われる人や可能性を否定できない「予備軍」も合わせると、2210万人と推計されています。糖尿病が疑われる人は10年前と比べ約1.3倍に増え、増加傾向にあります。
*厚生労働省 平成23年(2011)人口動態統計(確定数)の概況により参照致しました。
糖尿病の三大合併症のひとつである【糖尿病網膜症】もこれと同じように増加の傾向にあります。
約3,000人もの方が毎年失明を招いており、中途失明の上位を占めています。
また失明には至らなくとも、視覚障害により多くの患者さんが日常生活に支障をきたしています。
*日本で失明される原因の割合です。以前は緑内障より高く国内失明原因の1位でしたが、その後の医療の発展により低くなったものの、まだ上位を占めております。(dm-netより参照)
糖尿病網膜症は初期は自覚症状に乏しく、症状が現れた時はすでに手遅れということが原因の一つです。
幸い今回ご来院された患者様は、きちんとした治療を行えば失明する可能性は低いと分かりましたが、あと半年受診が遅れたら両眼とも失明していたかもしれないと思います。
この患者さんのように、糖尿病は血液検査や検尿などの検査を受けなければわからないケースが多いため、注意が必要です。
また糖尿病と診断され一度も眼科にかかったことがない方や、しばらく眼底検査を受けていない方は是非眼科で眼底検査を受けて下さい。
前述したとおり、糖尿病網膜症は自覚症状に乏しい病気です。
見え方に問題がないからと言って、大丈夫とは言えないのです。
*眼底検査の時の注意です*
眼底検査では、瞳孔を開く目薬を使って眼底がよく見える状態で検査をします。
検査のあとは4時間くらい眩しかったりピントが合いにくくなりますので、自転車やバイクの運転は危険です。ご自分で運転しての来院はお控えください。
*薬で瞳を開く(散瞳)する前と後です。元に戻る迄に4時間程かかります。
レーザーによる糖尿病性網膜症の診断、治療に特に力を入れています。
OCT(光干渉断層計)という網膜を詳しく調べる画期的な器械やパターンレーザーは地域で須恵中央眼科だけが導入しています。
このレーザーを使うと、人によっては治療時に感じる痛みがほとんどなく、レーザー治療を短期間で終わらせる事ができます。
治療に伴う痛みや通院の負担を大幅に軽減することができ、患者さんからも好評をいただいてます。
*地域初導入*
“PrecisionSpotTM レーザー照射”技術搭載眼科用レーザー光凝固装置PASCAL Streamline *TOPCON社製
どんな病気でも早めの治療が大事ですが、糖尿病網膜症こそ、それが当てはまる病気もありません。
糖尿病による目の合併症を最小限に抑えるためにも、早い時期での受診をお勧めいたします。